H24年6月号天衣無縫

H24年6月号天衣無縫

=第179号 平成24年6月号=

 尿路結石  尿路結石は、おそらく人類が誕生して以来苦しめられてきた病気ですが、文明の発達につれて特に食事や運動量の変化に伴い、急激に増加してきました。

また、尿路結石は腎臓や尿管の上部尿路結石と膀胱に出来る下部尿路結石に分かれますが、特に上部尿路結石が増え全体の95%を占める程の変化を示しており、このように急激に尿路結石が増加してきた現象を結石波と呼ばれています。

尿路結石の60~80%は、原因が不明で、特発性尿路結石と呼ばれますが、成分はシュウ酸やリン酸カルシウムが結晶化して石となったものです。  次いで、近年増加しているのが尿酸結石で全体の10~20 %を占め、他特殊な遺伝的な原因があります。

これらの特発性や尿酸結石は食事の変化(脂肪や動物性蛋白質の増加、ホウレン草やナッツ、アルコール量の増加など)と運動不足が関連しているとされています。

また、尿路結石は、生涯で100人に6人がかかり、男性が女性の2,4倍多いと報告されています。

また、いったんかかると30~40%再発しやすいのが特徴です。

A)症状と診断

腎臓結石は、無症状のことが多く、尿潜血反応や健診で偶然見つかることが多いのですが、尿管結石は腰背部からわき腹にかけて油汗が出るほどの激しい痛みをくり返し感じるのが典型的で疝痛発作と呼ばれます。また尿に潜血あるいは肉眼的な血尿や蛋白質が陽性となり、顕微鏡で結石の成分の結晶が見られます。X腺検査では、72%に結石がうつりますが、特に尿酸結石はうつりません。腹部エコー検査では、尿管が結石でつまるので腎臓に尿が溜まって腫れてくる水腎症が91%に認められ感度がより良好です。それでも不明の場合は腹部CTや排泄性の尿路造影が有用です。

B)治療

痛みが強い時は鎮痛剤や尿管の痙攣をとる鎮痙剤を使用します。結石の大きさが6mm未満ですと水分をたくさんとって尿の量を増やして、自然に排石することが可能です。ただし、アルコールや糖分を含む清涼飲料水は結石の形成を促進するためお水か、お茶にしましょう。また、尿酸結石やシスチン結石の場合は尿酸を下げる薬や、シスチンを下げる薬を用います。10mm以上の結石ですと自然に尿とともに流れ出すのは困難で体外からの衝撃波結石破砕や経尿道的尿管結石砕石術が必要となります。

C)予防

血液中の尿酸の高い人は尿酸降下剤で血中の尿酸値をコントロールして、またアルコール、脂質、動物性蛋白質やナッツをとりすぎないように、また普段から尿の色をめやすに、尿が透明になるくらい水分(水やお茶)をとりましょう。糖分の入ってる清涼飲料水のとりすぎは尿路結石を増す要因となります。そして十分な水分の補給をしながら、多いに運動を行いましょう。

平成24年5月 浦田 誓夫