=第175号 平成24年2月=
脳卒中について
脳卒中は脳の血管の一部がつまり、血液循環が低下したり、血管が破れて出血して起こる脳の障害の事で脳血管障害とも呼ばれています。
脳卒中は大きく、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つの病気からなっています。
脳卒中は日本人の死因の癌、心臓病に次いで3番目を占める重大な病気です。
1.脳梗塞
脳卒中の約70%を占め、脂質異常症(高コレステロール血症や高中性脂肪血症)、糖尿病や高血圧症などによる動脈硬化症あるいは心臓疾患(特に心房細動、狭心症、心筋梗塞)が危険因子です。
a)脳血栓症
脳卒中の約50%を占め脳の動脈硬化や狭窄が原因で血栓ができ、脳の血管が詰まって発症します。血栓が出来る場所により2つに分かれます。
1)アテローム血栓性脳梗塞
脳の大きな動脈の分岐部に血栓が出来やすく、脳の血液循環が大きく低下しますので、意識障害、片麻痺、失語(ろれつがまわらない)、失行(動きがぎこちない)、失認(見える物が判断できない)などの重大な症状が出やすくなります。
2)ラクナー梗塞
脳の細い血管の末梢に血栓が出来て詰まり、大きくても 1.5cmまでの梗塞が出来て、場合により全く症状の出な い事もありますが、この梗塞がたくさん出来ると認知症に なる事があります。
3)血行力学的脳梗塞
脱水や心臓の機能低下など、元々動脈硬化の為狭くなって 血液循環が低下している所に血栓が出来て起こります。
b)脳塞栓
脳卒中の約20%を占め、心臓や脳の外の血管で出来た血栓が剥がれ、脳の動脈に運ばれて脳の血管が詰まって起こります。
1)心原性脳塞栓
心臓病特に心房細動や弁膜症があると心臓に血栓が出来 易くなります。脳梗塞の症状は脳血栓の症状が突発的に起 こり速やかに進行することです。脳血栓症の場合は発症し た後は緩やかに、あるいは段階的に症状が加わっていくこ とが多いです。
2)動脈源性脳塞栓
最近発見され易く増加しつつある原因で、脳の外の大きな 血管、特に頚動脈の動脈硬化に伴う血栓が剥がれ脳の動脈 に詰まって起こります。頚動脈エコーで診断が可能となっ てきました。
c)一過性脳虚血
脳血栓の様な症状が一時的に起こり、24時間以内に自然に完全によくなる場合を言いますが、脳血栓や脳梗塞の起こる前兆として注意が必要です。
d)脳梗塞の急性期の診断と治療
発症後2~3時間以内では、頭部のCTでは診断が困難で頭部MRIが早期梗塞等の診断が可能です。
発症後3時間以内であれば、現在t-PAと言う血栓溶解薬を使って血栓を溶かし、症状を劇的に良くする事が原則可能となっていますが、指定の病院に発症後1時間以内に到着出来る様、熊本県でも連携ネットワークが出来上がりつつあります。
=以下 次号=
平成24年1月 浦田 誓夫
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冬は怖いヒートショック ~冬の浴室とトイレは要注意!!~
※ヒートショックとは?
暖房の効いた部屋から、寒い脱衣所で服を脱ぎ、熱いお風呂に入る時に起こる血圧の乱高下や脈拍が急激に変化する事で、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞等のヒートショックが起こります。
一年間に推定一万人以上が亡くなると言われています。
※ヒートショックを起こしやすい人
*65歳以上の高齢者
*高血圧・糖尿病・動脈硬化の持病がある
*お風呂・洗面所脱衣所・トイレが寒い家
*肥満気味
*一番風呂に入る事が多い
*熱めのお風呂を好む
*お風呂は首までお湯に浸かる
※ヒートショックの予防と対策方
*洗面脱衣所・トイレに暖房器具を置いて、部屋ごとの温度差を少なくする
*入浴前に、浴室をシャワーで温めておく
*浴槽のふたは開けておき、床はマット等を敷く
*お風呂の温度は38度~40度のぬるめにする
*いきなり熱いお湯に入らない
*食後すぐや空腹時にお風呂に入らない
*肩までつからず、体の負担が少ない半身浴にする
*ヒートショックを起こしやすい人は、気温が高い明るいうちにお風呂に入る
*ヒートショックを起こしやすい人が入浴中は家族が声を掛けたりする 高齢者が自宅で亡くなる原因の4分の1をヒートショックが占めている、とも言われています。
家族を守る為にも、家で出来るヒートショック対策予防を 始めてみませんか?
参考文献 マルナカ設備H.Pより
文 責 野口 佐代子