=第253号平成30年8月号=
高尿酸血症・痛風
1.高尿酸血症とは
わが国では近年、血液中の尿酸という物質が増えてきていることが報告されています。男性と女性で差がありますが、その頻度は男性で約30%、女性で2~3%です。尿酸は核酸(プリン体)という遺伝子の素材として必要な栄養素の体内での分解産物で、多くは腎臓や一部消化管から排泄されています。血液中の尿酸が7mg/100ml以上、特に8mg/100mlを超えると血液中の尿酸が結晶化し、体内の組織に沈着して炎症を起こしてきます。特に関節に沈着すると痛風という激烈な痛みを伴う関節炎が発症してきます。痛風とは、風があたっても痛みを発すると言われるほどで、3大激痛の1つと言われています。しかし、近年、高尿酸血症は関節炎のみならず、尿路結石や腎臓病の悪化(慢性腎臓病;CKD)、動脈硬化症、高血圧症、メタボ、心血管疾患や脳卒中とも関連があると言われており、高尿酸血症のコントロールの重要性が指摘されています。
2.高尿酸血症の治療
尿酸は核酸の代謝産物です。核酸は遺伝子の素材であり、炭水化物、蛋白質、脂質、ビタミンに次いで第5の栄養素と呼ばれる大切な栄養です。従って、欠乏は避けなければなりませんが、過剰に取ると尿酸が増えてきます。核酸は、肉や魚などの蛋白質の多い食材に多いため、肉や魚などを取りすぎないようにして下さい。また、野菜は体内の尿酸の排泄を促進するなど、血液中の尿酸を下げる作用があり、多くとって下さい。しいたけなどのきのこ類は核酸成分は多いのですが、通常の量では問題ないと言われています。アルコールは体内の尿酸の排泄を妨げ、高尿酸血症を誘発、促進しますので、控えてください。特にビールは、麦芽の核酸を多く含むものがあるので、要注意です。また、運動は筋トレよりは歩行、ジョギング、テニス、ゴルフなどの有酸素運動が効果的です。
食事や運動で改善が認められなければ、薬物治療を行います。現在、高尿酸血症の治療薬として尿酸生成阻害薬、尿酸排泄促進薬、尿アルカリ化薬、尿酸分解酵素薬などがあり、症状に応じて使い分けをします。また、痛風発作時はコルヒチン、鎮痛解熱薬、副腎皮質ホルモン薬を適宜使います。
浦田医院 院長 浦田誓夫