=第178号 平成24年5月=
不整脈(脈の乱れ)について~平成24年4月号の続き~
5.発生性上室性頻拍
上室性期外収縮が3連発以上となり心拍が1分に 160~200回と規則正しく洞性頻脈より速く打つ不整脈です。
抗不整脈薬や心房細動で述べたカテーテルアブレーションにより除く事が可能です。
6.早期興奮症候群
突然発作的に脈が速くなりますが、非発作時の心電図が特微的な変化を示し、カテーテルアブレーションにより原因となっている副伝導路と呼ばれる部位を焼灼することで治療が可能です。
7.心室頻拍
心室性期外収縮から3連発以上となると心室頻拍(1分に100回以上)と呼ばれます。心不全や次の心室細動という危険な不整脈に陥ることがありペーシングや電気ショックによる治療が必要です。
8.心室細動
心臓が全く不規則に動きまた有効な収縮を起こせなくなりますので、脈が触れず血圧も低下し約5~15秒で意識が無くなり死に至る危険な不整脈です。突然の心臓死の約80%を占めると推測されています。
直ちに心臓マッサージをしながら電気的な除細動を行います。
現在では簡便な除細動器(AED)が役所・ホールなどの公共の場所などに配置されており、速やかな対応が可能です。
再発予防の為に、植え込み型除細動器(ICD)を体内に留置することが近年行われるようになりました。
B.徐脈性不整脈(脈が遅く打つ)
1.洞機能不全(洞不全症候群) 心臓の電気的な興奮は心臓の一定の部位(洞結節)から開始しますがこの洞結節の機能不全が原因で脈が遅くなったり逆に早くなったりすることがあります。原因不明の事もありますが、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、高血圧症、心筋症などの基礎疾患に合併することもあります。
脈が1分間に40回以下となると血液循環特に脳の血液循環が保てず、めまいや意識障害が起こってきます。治療はペースメーカーを植え込みます。
2.房室ブロック
1,2,3度と程度がありますが、心臓の上の部分(心房)と下の部分(心室)との電気的な興奮がうまく伝達されなかった場合です。
3度の房室ブロックは1.と同様めまいや失神を起こしてくるのでペースメーカーによる治療となります。
以上主な脈の乱れの原因と治療について述べましたが、多くの不整脈は緊張、疲れ、不眠、酒やたばこなどの生活の乱れが引き金となりますので注意しましょう。
平成24年4月 浦田 誓夫