カテゴリー: 院内報
院内報
=第17号 令和3年3・4号= 新型コロナ感染症(COVID-19) ~第7報~ 新型コロナワクチンの予防接種について 1.はじめに 新型コロナ感染症は世界中で猛威をふるい続け、2月15日現在感染者は約1億1000万人、亡くなられた方は約240万人に及び、日本においても感染者は約41万人、亡くなられた方は約7000人となっています。しかし幸いにもわが国の第3波の感染の波は非常事態宣言による3密を避ける自粛の効果もあり、減少傾向に転じています。そしていよいよ新型コロナ対策の切り札と言われる新型コロナのワクチン接種が開始されようとしています。本稿ではワクチン…
院内報
=第7号 令和元年11月号= 難治性気管支喘息 夏から秋へ季節の変わりめの頃は、気道の過敏性が亢進し、またアレルゲンであるダニや家のほこりが増え、気管支喘息発作がおきやすくなります。 気管支喘息の約5%~10%にこれまでの吸入ステロイド薬、長時間作用薬のβ2刺激薬(LABA)やテオフィリン薬で十分なコントロールができない難治性喘息があります。難治の要因としては、高度なアレルギー性、気道過敏性の他に慢性閉塞性肺疾患(COPD)が合併し、肺の構造が損傷される場合があります(ACO)。高度なアレルギー性については最近いろいろな生物学的製剤が使用可能となって有効性を発揮しています。 ACOは特に高…
令和元年6月 院内報 天衣無縫
天 衣 無 縫 =第2号 令和元年6月号= 梅雨とかび(真菌) いよいよ梅雨の季節になり、むし暑い日々が訪れました。大雨による災害は避けたい所ですが、またこのような高温多湿の気候の下では家の中でかび(真菌)が繁殖しやすくなります。かびはこうじのようにみそ、しょうゆ、納豆や酒などの発酵にかかせない生き物で、またペニシリンという世界最初の抗生物質として発見された抗菌薬の成分も造り出しており、人類はかびをうまく利用してきましたが、一方かびはさまざまな病気の原因ともなります。 かび(真菌)による病気は大きく分けて皮膚や粘膜(口腔、食道、膣など)で繁殖する浅在性真菌症と体内の内臓(特に肺や脳)で繁殖し…
令和元年 5月 おしゃべり通信
おしゃべり通信 No.234 H31.5.15発行 如春会 浦田医院 ~H29年4月発行 日本小児科医会会報特集~ スマホパンデミック!⑪ <スマホ社会の落とし穴> 2.「劣化」の実相 -⑤ (4) 生活の乱れ・睡眠時間の短縮化 子供の就床時間は年々短くなっています。下図は小学生の生活リズムを書いたものですが、一日に必要な生活時間の構成は、学校制度が開始される前からそう多くは変わっていませんが、全国民の教育が義務教育化されると、学校という集団に所属する為の社会適応が当たり前に始まって、学校制度に適応するための時間(=家庭学習・学校へ行くための準備)がその中に入ってきます。 一般家庭…
令和元年5月 院内報 天衣無縫
天 衣 無 縫 =第1号 令和元年5月号= 大腸の悪性腫瘍について 悪性腫瘍とは無秩序で無限の増殖能を持つ細胞により正常の細胞組織が破壊され、放置すると死に至る病気です。大腸の悪性腫瘍は99%以上が癌で、そのほか稀に悪性リンパ腫や肉腫がみられます。大腸がんは日本ではこの30年間で約5倍に増加しており、男性では肺癌、胃癌に次いで3番目、女性では癌の中で1番多くなっています。 大腸癌が増えた理由として、生活スタイルの変化が関わっているとされます。大腸癌の危険因子として最も高いのはアルコールで、次いで加工肉(ハム・ベーコン・ソーセージ等)・赤みの肉・肥満・糖尿病・喫煙(直腸癌)などが知られ、逆に予…
H30.8 院内報 天衣無縫
=第253号平成30年8月号= 高尿酸血症・痛風 1.高尿酸血症とは わが国では近年、血液中の尿酸という物質が増えてきていることが報告されています。男性と女性で差がありますが、その頻度は男性で約30%、女性で2~3%です。尿酸は核酸(プリン体)という遺伝子の素材として必要な栄養素の体内での分解産物で、多くは腎臓や一部消化管から排泄されています。血液中の尿酸が7mg/100ml以上、特に8mg/100mlを超えると血液中の尿酸が結晶化し、体内の組織に沈着して炎症を起こしてきます。特に関節に沈着すると痛風という激烈な痛みを伴う関節炎が発症してきます。痛風とは、風があたっても痛みを発すると言われるほ…
H30.7 院内報 天衣無縫
=第252号平成30年7月号= 下 痢 体の中の水分は、口から入り胃腸を流れていく間に、非常に多くの出し入れがあり、まず、口から1日に約2ℓの水分をとると胃腸からの吸収が約9ℓ/日。逆流胃腸からの分泌が約7ℓ/日にもなり、便として約100mℓ~200mℓ/日の水分が排泄されます。従って下痢は胃腸からの水分の吸収が減っておこる(吸収不良性下痢、浸透圧性下痢)か、胃腸からの水分分泌が過剰になりおこります(分泌性下痢、滲出性下痢)。 Ⅰ.吸収不良性下痢、浸透圧性下痢 冷たい飲物やアルコールのとりすぎ、強いストレスなどにより腸壁の蠕動が刺激されやすくなります。また、慢性の腸炎や手術で腸を切除し腸が…
H30.6月 院内報 天衣無縫
便 秘 食物は口から入り、便となって肛門より出てくるまで、胃で約2時間、小腸で約4時間、大腸で約1日を要して通過していきます。 特に大腸では一日かけて通過する間に大部分の水分が吸収されて、約10%の水分を含んだ状態で普通の便ができあがります。 便の消化管の移動は消化管の蠕動というみみずのような動きで行われ直腸に便が入ってくると自律神経反射により便意を感じ反射的に直腸の収縮がおこり、それに自らの意思で腹筋に力を入れて腹圧をかけて排便が行われます。 Ⅰ.便秘A原因便秘とは排便回数や量が少なくて、排便に困難や不快を感じる状態をいいます。おおむね便は硬くなることが多いですが時に軟らかい場合もあります。…