平成24年12月号院内報

=第185号 平成24年12月号= 気管支喘息について ~平成24年11月号の続き~ 3.気管支喘息の治療   1)喘息発作薬  気管支喘息発作はアレルギー性の気管支炎に伴う気管支の収縮によりますので速効性のある気管支拡張薬、抗炎症作用のある薬を用います。   ①β2‐刺激薬(短時間作用型) 主に吸入薬で携帯用の吸入器(メプチンなど)で1~2回の吸入やネブライザーの液(ベネトリンなど)を反復吸入します。一回使用して効果が十分でなければ、20分後にもう一度行い、それ以降は、一時間以上おいて使用します。頻回に使用すると心臓の刺激作用が強くでてくることがあります。 ②テオフィリン薬 テオフィリン(ア…

H24年11月号 おしゃべり通信

ケータイ依存 中高生の日常 ~ 東京都医学総会研究所の精神保健学グループの発表~ 中高生を対象にした大規模調査(2008年~09年に三重・高知両県の中高生を対象)で、夜間消灯後にメールや通話でケータイを使う頻度が高いほど「心の健康状態」が悪い傾向がみられました。 「自分は役に立たない人間だと考えた事はあるか」「している事にやりがいを感じるか」などの質問を基に生活状況や精神状態を把握するためアンケートを 消灯後にケータイ電話を 1)全く使わない 2)時々使う 3)毎日使う の3グループで実施、そのリスクを比較しました。 基準値より点数が低く「不健康群」とされた生徒の割合は以下の通りです。 不健康…

H24 11月号 院内報 天衣無縫

第184号 平成24年11月号= 気管支喘息について 1.気管支喘息の症状と原因 ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)、咳や痰さらには呼吸困難(喘息発作)がおこりいったん治っても再び繰り返しておこる状態で、他の同様の症状をおこす百日咳、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心臓喘息、逆流性食道炎などを除きます。原因は通常の感冒に伴う気管支炎と異なるアレルギー性の疑われる気管支炎がおこり、治療が不十分であると気管支の粘膜の腫れや線維が増え、気道の過敏性が亢進してくることにあるとされています。 しかし、検査でアレルギー性が認められるのは、50~70%で(アレルギー性気管支喘息)、アレルギー性が検出で…

H24年10月号 おしゃべり通信

子どもに影響 親の悪い習慣って何? “子どもは親の鏡”と言いますが、親の生活習慣は様々な形で子どもに影響を与えています。 自分では「ふつう」と思っている生活の習慣が「育ち」の途中の子ども達には、悪影響を与えている事があります。 〈乱れた食生活〉 子どもは、親が出したものを食べるので、親の習慣がそのまま子どもの食生活に影響を与えてしまいます。 ファストフード・コンビニ・インスタント食品などが便利な食材・食品として食卓に並ぶ事が多かったり、スナック菓子を袋のまま・炭酸飲料等のジュースを言われるがまま与えてしまうと、糖質や油脂が多い高カロリー食が大好きな子になってしまいがち、小児肥満の大きな要因にも…

平成24年10月号 院内報

=第183号 平成24年10月号= 甲状腺の疾患について ~平成24年9月号の続き~ 2、甲状腺機能低下症 原因の大部分は、慢性甲状腺炎と呼ばれる甲状腺の慢性の疾患で、日本人の発見者にちなんで、橋本病と世界で呼ばれています。橋本病は、バセドー病と異なり思春期以降の女性に多く、加齢とともに上昇してきます。 男女比は 1:10~20で成人女性の約10%に橋本病が潜在するとされます。橋本病の場合もその発症のしくみはバセドー病と同様に、甲状腺を異物とみなす自己免疫疾患により甲状腺に対する自己抗体が出来るのですが、これは他の自己免疫疾患やアレルギーと同様、炎症をおこして甲状腺を損傷する方向に作用し、甲状…

H24年9月号 おしゃべり通信

スポーツの秋 家族でエクササイズ 体力は、健康を保ち、活力に満ちた明るい生活を営むための基盤となります。ところが近年は、子どもにも、生活習慣病の増加や、基礎体力の低下が目立つようになり、社会問題とさえいわれています。 そこで、「体力つくり強化月間」(10月)に向けて日常生活の中、仲間や家族とのふれあいの中で体を動かす事の楽しさを知り、スポーツに親しむ態度や習慣を身に付けてみませんか? ~やってみよう!元気アッププログラムエクササイズ~ 〈片足しゃがみ立ち〉 (1)二人で手をつなぎ、片足で立った姿勢からしゃがんで立ち上がる。 〈ケンケン相撲〉 (1)エリアをきめてその中に二人が入り、片足立ちにな…

H24年9月号天衣無縫

=第182号 平成24年9月号= 甲状腺の疾患について 1、甲状腺とは  甲状腺はのど仏の下に蝶ネクタイのような形をしている重さ15~20gの小さな臓器ですが、ホルモンを内分泌する臓器としては、脳の下垂体や副腎に比べても人の体の中で最大の内分泌臓器です。 甲状腺が分泌するホルモンは甲状腺ホルモン(T3、T4と二種類)に加えカルシトニンという骨の代謝に影響するホルモンがあります。甲状腺ホルモンは生命にとって重要なホルモンで、小児期の心身の成長や、成人になっても心臓、脳や消化器の機能の調節、脂質や糖の代謝の調節など、多様な作用を有しています。 また甲状腺ホルモンは、よう素を素材として作られますから…

H24年8月号 おしゃべり通信

保育園保健の必要性② 保育園の質は、子供の発育・発達を密接に結びついていると言わざるをえない。 公私立を問わず、知育の前に、保育を考える組織であってほしい。 家庭保育で子供が得ていたものすべてをそれ以上に与えてほしい。 家庭が子供の心の基地であることに変わりがないことを、保護者にしっかり思い出させながら、保育の連続性を保ってほしい。 一方、保育園児の病院へ通う頻度は家庭保育児の3倍になってから久しい。政府もそれを知っているから、病児保育だの、看護師を保育園に配置だの、小手先で画策しようとしているが、幼児教育の何たるかも勉強していない看護師を配置して一体なんの役に立つ? 厳しい言い方かもしれない…

H24年8月号 天衣無縫

=第181号 平成24年8月号= あなどれない脂肪肝 平成の時代は、昭和と比べると食生活が格段と豊になりましたが、一方運動不足も加わりこの20年間でも肥満の人は1,5倍に増加し、日本では約2300万人(男性1300万人、女性1000万人)と推定されています。 それとともに肝臓に脂肪(主に中性脂肪)がたまる脂肪肝も増え、約1000万人以上といわれています。 また、脂肪肝のうち約10~20%に肝機能障害が認められ、脂肪性肝炎といわれています。 人間ドックの集計でも、受診した人の約30%に肝機能障害が認められ、そのうち2/3は肥満を伴っていました。  以前は、脂肪肝は良性疾患であるといわれていました…

H24年7月号 おしゃべり通信

保育園保健の必要性① 「保育園・幼稚園は、日本の子育て、並びに子育て支援の大切な現場として、重要な位置を占めつつある」との認識は、あるようで、希薄だ。 文部科学省管轄だった幼稚園が、厚生労働省管轄だった保育園と合同して「子供園」に統合されるというのも、それを認めたからかと思いきや、待機児童をなくすことばかりに終始している様にみえる。 形はどうでも、魂を入れなくっちゃ!! 先進諸国には及ばなくとも、日本はそうも貧しい国ではないのだから、実は“本当に”「保育に欠けている子供」なんてそうはたくさんいない筈。 預ける側の事情を鑑みるに、先ず戦後教育の賜物『自分を活かす』ために子育てを二番目に置こうとし…