H24年7月号 天衣無縫

=第180号 平成24=年7月号= 熱中症について 今年の夏は、例年にもまして暑くなると予想され、また原子力の大事故に伴い、全国での電力不足が加わり、熱中症が増えるのではないかと危ぶまれています。 熱中症は以前は、日射病とか熱射病とか、色んな呼び方がありましたが、ここ10年程前より熱中症という病名に統一されました。 1)熱中症とは 熱中症は日本の夏のように高温・多湿な環境(家の外と内を問わず)で水分や塩分を補給しないままにしておくと、脱水がおこりそれとともに、体温が上昇し血液循環が低下して血圧が下がり手足や腹の痙攣、頭痛や気が遠くなったり、重症の場合は体の中の重要な臓器の機能が全て障害され、死…

H24年6月号 おしゃべり通信

夏の、虫刺され対策  ちょっと刺されたくらいなら大丈夫と気軽に考えてしまう時ありませんか? 実は、蚊に刺されただけでも、赤く腫れたり・膿んでしまったりするケースが多いので、改めて予防と対処法を確認しておきましょう ◎木陰・草むら・水たまりは虫のたまり場◎ うっかりしていると、子どもたちは、虫の攻撃対象になります。特に公園などでは、蚊・アブ・ブヨなどがいます。 また毛虫も桜の他ツバキ・サザンカの木の下にも。スズメバチの巣の下にも気をつけましょう。 汗をかきやすい夏場では、特に刺された所がかゆくなってつい、かきこわしてしまう事があります。 そうなると、治りにくくなるばかりだけではなく、他の病気の原…

H24年6月号天衣無縫

=第179号 平成24年6月号=  尿路結石  尿路結石は、おそらく人類が誕生して以来苦しめられてきた病気ですが、文明の発達につれて特に食事や運動量の変化に伴い、急激に増加してきました。 また、尿路結石は腎臓や尿管の上部尿路結石と膀胱に出来る下部尿路結石に分かれますが、特に上部尿路結石が増え全体の95%を占める程の変化を示しており、このように急激に尿路結石が増加してきた現象を結石波と呼ばれています。 尿路結石の60~80%は、原因が不明で、特発性尿路結石と呼ばれますが、成分はシュウ酸やリン酸カルシウムが結晶化して石となったものです。  次いで、近年増加しているのが尿酸結石で全体の10~20 %…

H24年5月号 おしゃべり通信

梅雨の季節 食中毒にも注意 食中毒は真夏だけではなく梅雨の季節に入る6月にも、少し涼しくなる9月にもむしろ起こりやすいものです。 病原体の中には、ジメッと湿度が高い場所や、温度が高い場所が大好きなものがあり、なかでも湿気を好む細菌が増殖しやすいこの時期は食中毒が発生しやすくなります。 ●細菌性食中毒● 食品に付着した増殖した細菌や、細菌の毒素を摂取する事で発症します。 食中毒の大半が細菌性で、特に梅雨から夏期に多く発症します (腸炎ビブリオ・O-157など) ●ウイルス性食中毒● 食品に付着したウイルスを採取する事で特に冬に多く発症します。(ノロウイルスなど) ●化学性食中毒● もともと食品に…

H24年5月天衣無縫

=第178号 平成24年5月= 不整脈(脈の乱れ)について~平成24年4月号の続き~ 5.発生性上室性頻拍 上室性期外収縮が3連発以上となり心拍が1分に 160~200回と規則正しく洞性頻脈より速く打つ不整脈です。 抗不整脈薬や心房細動で述べたカテーテルアブレーションにより除く事が可能です。  6.早期興奮症候群 突然発作的に脈が速くなりますが、非発作時の心電図が特微的な変化を示し、カテーテルアブレーションにより原因となっている副伝導路と呼ばれる部位を焼灼することで治療が可能です。 7.心室頻拍 心室性期外収縮から3連発以上となると心室頻拍(1分に100回以上)と呼ばれます。心不全や次の心室細…

H24年4月天衣無縫

=第177号 平成24年4月= 不整脈(脈の乱れ)について 心臓は生きている限りほぼ規則正しく収縮と弛緩を繰り返し、体の中の血液を循環させている『ポンプ』です。即ち心臓が止まると人は死に至ります。(稀に心臓が動いていても脳の機能が失われていると脳死とされ死亡と判定される事があります。)この心臓の動きが手や足あるいは肘、わきの下や股間部で脈として触れることが出来ます。 しかし、時に心臓は不規則に動いて、脈が乱れてくることがあり、脈の乱れは原因により治療が必要な場合が出てきます。脈の乱れは心電図(特に24時間心電図)により診断されます。 A.頻脈性不整脈(脈が速く打つ) 1.洞性頻脈 脈が規則正し…

H24年3月天衣無縫

=第176号 平成24年3月= 脳卒中について ~平成24年2月号の続き~ 2.脳出血 脳卒中の約20%を占め、主に高血圧が原因ですが他に種々の脳の血管の病気でも起こります。 脳出血の起こる部位は脳動脈の先端に近い細い動脈の動脈硬化を基盤として血管が破れ出血します。 また被殻・視床・橋・小脳といった脳の特定の部位に起こり易く、片麻痺・視神経障害・めまい・意識障害などが急速に起こってきます。 脳出血の診断はMRIより頭部CTが優先されます。 3.くも膜下出血 脳卒中の10%を占め脳動脈瘤や脳の血管奇型が破れてくも膜下腔という脳全体を取り巻くスペースに出血を起こしてきます。 これまで経験した事のな…

H24年2月天衣無縫

=第175号 平成24年2月= 脳卒中について 脳卒中は脳の血管の一部がつまり、血液循環が低下したり、血管が破れて出血して起こる脳の障害の事で脳血管障害とも呼ばれています。 脳卒中は大きく、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つの病気からなっています。 脳卒中は日本人の死因の癌、心臓病に次いで3番目を占める重大な病気です。 1.脳梗塞 脳卒中の約70%を占め、脂質異常症(高コレステロール血症や高中性脂肪血症)、糖尿病や高血圧症などによる動脈硬化症あるいは心臓疾患(特に心房細動、狭心症、心筋梗塞)が危険因子です。 a)脳血栓症 脳卒中の約50%を占め脳の動脈硬化や狭窄が原因で血栓ができ、脳の血管が詰…

H24年1月号 おしゃべり通信

冬の乾燥と予防対策 寒さも本格的になる1月~2月の時期、冷たい北風が吹く季節になり体がムズムズして背中やお腹のあたりがかゆくなったりしませんか? 乾燥した空気の中では風邪やインフルエンザウイルスに感染する原因にもなっています。 1.乾燥からのかゆみ  空気が乾燥し寒さのために、皮膚の血行が悪くなり皮脂の分泌が少なくなります。 また、部屋の中でも暖房器具を使うため肌は常に乾燥の環境の中にさらされています。 「水分」と「油分」のバランスがとれ、外部からの異物が侵入するのを防ぐバリア機能が乾燥で失われてしまうと、カサカサしてかゆみとなっていきます。 《かゆみ予防対策》 ・部屋は適度な温度と湿度を保ち…

H24年1月天衣無縫

=第174号 平成24年1月= 新年明けまして おめでとうございます 昨年は国の内外を問わず自然の大災害が起こり、政治や経済も低迷し不安定な社会情勢が続きました。 とりわけ日本は3月の東日本大震災及びそれに伴う福島第一原発事故が起こり、多数の方々が亡くなられ、また復旧・復興は端緒についたばかりの状態です。 復旧・復興には長い年月を要し、また土壌や食料の放射線汚染、莫大な廃棄物の処理や電力の減少など影響は全国に広がっており、とりわけ原発事故は収束まで30~50年にも及ぶと報道され、これまでの災害とは次元の異なる様相を呈しています。 これらの出来事で人は自然から生まれ、自然と共に生き、自然に還って…