H24年4月天衣無縫

H24年4月天衣無縫

=第177号 平成24年4月=

不整脈(脈の乱れ)について

心臓は生きている限りほぼ規則正しく収縮と弛緩を繰り返し、体の中の血液を循環させている『ポンプ』です。即ち心臓が止まると人は死に至ります。(稀に心臓が動いていても脳の機能が失われていると脳死とされ死亡と判定される事があります。)この心臓の動きが手や足あるいは肘、わきの下や股間部で脈として触れることが出来ます。

しかし、時に心臓は不規則に動いて、脈が乱れてくることがあり、脈の乱れは原因により治療が必要な場合が出てきます。脈の乱れは心電図(特に24時間心電図)により診断されます。

A.頻脈性不整脈(脈が速く打つ)

1.洞性頻脈

脈が規則正しくても1分間に100以上となる場合を言います。精神的な緊張、運動の他、発熱、中等量以上の出血、心不全や甲状腺機能亢進症のような病気でも起こり、原因に応じた治療が必要となります。

2.期外収縮

心臓が予定よりも早く興奮してしまい脈の乱れにつながる事を言います。早く興奮が起こる部位により上室性期外収縮と心室性期外収縮がありますが、24時間心電図を取りますと前者は健常な人でもよく見られ、特に70才以上の人では約90%に認められます。また後者も健常者の約30%に認められます。従って心臓のくしゃみのようだとも言われます。精神的な緊張、アルコール・たばこ・不眠・疲れが引き金となりやすいと言われています。回数が多い場合や動悸を自覚する場合また心電図で3連発以上の場合は薬でコントロールします。

3.心房細動

絶対性不整脈とも呼ばれ,脈が全く不規則になる不整脈です。年令と共に頻度が増し、60才以上の人の2~4%に認められます。

心房細動があるとまず心臓の収縮機能が低下する心不全に陥りやすくなります。また、心臓内(特に左心房)に血栓が出来やすく出来た血栓は脳に運ばれやすい為、脳梗塞(心源性脳塞栓)の原因となります。心房細動のある人はない人に比べ脳梗塞の合併する割合が5倍となります。心房細動は発作性に一時的に起こる場合と慢性的に持続する場合がありますが、発作性の場合は薬や電気ショックによる除細動を行います。慢性になると心不全や頻脈をコントロールする必要があり、また血栓が出来るのを予防する為、抗凝固薬(ワーファリン、プラザキサ)による治療が必要となります。  

近年、心臓内にカテーテルを入れ、心房細動の発生部位を同定して焼灼し、根治的に心房細動を除く治療法(カテーテルアブレーション)が普及してきています。

4.心房粗動

心房細動ほど頻度は高くありません。心房は細動と同じ様に1分に200~400回と早く打ちますが規則正しく、その一部が一定の割合で心臓の収縮につながってくる不整脈です。

心臓カテーテルを使ったペーシングや抗不整脈薬で治療します。

また心房細動と異なり血栓は出来ませんので抗凝固薬は必要ありません。

=以下次号=

平成24年3月 浦田 誓夫

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